HOME > BLOG > 紙を破る
紙の知識
2018/06/15

紙を破る

hamaguchi
BLOG

takeo paper show 2018「precision」~精度を経て立ち上がる紙~

6月1~3日の会期で takeo paper show 2018「precision」~精度を経て立ち上がる紙~が青山スパイラルで催されました。株式会社竹尾が主催するペーパーショーは4年ぶりの開催となり、業界でも話題が持ちきりです。そこで紹介される新製品は、ファインペーパーの流行を左右するとも言えます。


弊社が昨年より輸入販売しているキュリアスシリーズの新製品「キュリアス マター」も紹介されると聞いたので期待を胸に会場に向かいました。

1階から2階に向かう階段の踊場で目にした光景はショッキングでした。


破れたマター.jpeg

千切られたキュリアス マターに賛否の声

とにかくインパクトはありました。直径1mx高さ1.3mほどの大型塩ビ素材のバケツ一杯に無造作に千切り破られたマターが詰められたオブジェがあったのです。

愛着ある商品がどんな使われ方をするのか、販売する側としても気になるところです。当然「紙がもったいない」「千切った紙はメモにも使えない」「同商品の注文が来て在庫が足りない時、あの光景を思い出してしまう」「紙罰が当たる」などの否定的な感想もありました。

それでは来場された一般のお客様の反応はどうだったでしょうか。紙を手にした方の大半は自らも紙を破り、裂け口を見て、紙面を擦り、キュリアス マターというポテト由来の素材感を確かめているようでした。これがもし綺麗に切り揃えられたカット判であったのならば、持ち帰ったとしてもそのまま記憶からは忘れ去られてしまうかもしれません。

「紙を破る」という行為の中に私たちが体験したプリミティブな欲求を呼び起こすスイッチがあり、それは紙が持つ特性のひとつでしょう。

「紙を破る」演出効果

小説、映画、ドラマ、漫画の演出効果として昔からあらゆる場面で紙は破られてきました。古くは石原慎太郎のデビュー作「太陽の季節」でリピドーが溜まった主人公が障子紙を突き破るシーンであったり、2016年の人気ドラマ「逃げるが恥だが役に立つ」では見られたくないメモ書きを「うわぁーこの紙、破りやすい!」と死んだ目をして破る新垣結衣が思い出されます。

「紙を破る」行為は「意志の強さ」「過去との決別」「0からの出発」などを表す演出効果に用いられて、それは自然に私たちの心象に刷り込まれているのかもしれません。


「紙を破る」快感

紙を手にしてビリッと破る体験は誰しもあり、子どもの頃はそれが快感であった人は多いはずです。紙を破ることは様々な知育効果が確認されていて、破る体験を多く積ませることが手先の器用さにつながると言われています。

弊社も「紙を破る」快感を体験できる販促物がありました。2013年に制作した業界発のパッケージ入り見本帳「GULLIVER'S PAPERMINT GUM」です。

お菓子のパッケージに見立てた箱にあるミシン目をぺりぺりと破く時、体験者のお顔は綻んでいたと記憶しています。

相手の脳に鮮明にイメージを与える共感性

今回「takeo paper show2018」階段スペースで紙に触れ、破り、紙そのものの質感や手触りを創り手と共感された人は多いはずです。開催後、はからずも弊社にもキュリアス マターの問い合わせを何件かいただきました。

イベント等でファインペーパーを体験してもらうことが大切な昨今。「紙を破れる製紙工場見学会」などを企画してみても面白いですね!

 

 

 

 

 

 

 

Facebookで更新情報をチェック!