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イベント
2016/06/17

校正な公正? ~4Fes!2016~ 前夜祭より

hamaguchi
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5/28(土) 篠原紙工4階「Factory4F」で催されたイベント 4Fes!2016 の前夜祭(5/27)

に行ってきました。「校正ライブ」と称された前夜祭のトークイベントでは、作家のナカムラ クニオさんと現役の校正者 牟田 都子(むた さとこ)さんを交えて私らも校正を体験することが出来ました。

校正者と作家のコミュニケーション

テキストとして使われたのは、この日のために書き下ろされた短編小説「みらいのあな」。篠原紙工を訪ねてきたお客さんの変わった依頼からストーリーは展開します。


小説内では意図的にいくつかの誤植、変換違いなどの罠が仕掛けられています。

私が抱いていた校正のイメージは間違いさがし的なものでした。その一面はあるものの単純なものではありません。一見間違っているようでもそこに作家の意図が隠されている場合もあります。間違っているかもしれないと気づいた時、作者側やデザイナー側に「・・・・ではありませんか?」と柔らかな問い掛けが必要と牟田さんは言っていました。そこにプロの校正者としての細やかな心遣いを感じました。

校正者と製本業の共通点

来場者の校正体験が一通り終わり、篠原社長を交えてのトークショーが始まります。
(右から篠原さん、ナカムラさん、牟田さん)

そこで篠原社長は今日初めて会った牟田さんに同じ匂いを感じたそうです。それは仕事柄、100点を取って当たり前というところです。製本業では入社したての頃は毎日ひたすら梱包作業に従事するそうです。普通に100点を取って当たり前の世界、98点だとマイナス2点分を責められる。「あっ、それわかります!」と牟田さんがうなずきます。校正という作業にも完璧という言葉はなく、それに近づける努力を日々研鑽しているとのこと。そこから先に個性が生まれてくると篠原社長は続けます。ある人は人より早くを求め、ある人は誰よりも綺麗に仕上げることを目標にする。人それぞれのモチベーションによって仕事の方向性が決まってくるとのお話でした。

私たち紙の流通業務に置き換えるとお客さまの求める紙を納期通りに届けて当たり前、そこから先のプラスαが個性ということになりますが、まだまだ創意工夫が必要です。

イベントは社員が創り上げる

参加者が各自校正した本が集められ、中綴じの製本が施されますとイベントはクライマックスを迎えます。「みらいのあな」という小説内での篠原が、リアル世界の篠原社長となり実際の本に穴をあけるという作業に入ります。

ドリル穴の位置決めをする篠原氏の横顔、真剣白刃のプロの迫力を感じます。会場全体も息を飲み込み手元を見つめています。

「穴が開きました!」一斉の拍手が起こります。

会場のFactory4Fはミシンやドリルなどの工具が設置され、普段は作業場として使用されています。そして今回のように一般の人にも物づくりの深さが理解できるLIVEスペースとして情報を発信しています。

篠原社長に聴いたところ、今回のイベントは企画から設営・運営まで篠原紙工社員の皆様が創っているとのこと。物づくりを追求するクリエイティブな精神がふんだんに活かされていますね。

前夜祭に訪れた約60名は、出版・印刷加工の関係者から一般の会社員です。口コミやネットを通じて集まった方々が大半と聞きました。紙を使った物づくりに興味を持つ人たちが集まり、私たちの業界の明るい未来が小さな穴から垣間見れた気がしました。

有限会社篠原紙工
〒136-0072 東京都江東区大島5丁目51番13号
TEL 03-5628-0608
FAX 03-5628-0603 

 

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