TABF2019制作事例 OKミューズコットン60th Anniversary Bookcover
hamaguchi王子エフテックスの看板商品「OKミューズコットン」は1959年生まれ。今年で60周年を迎えるロングセラー商品です。
131色の豊富な色数を誇るミューズコットンですが、真剣に対峙してみると意外な色の秘密が見えてきました。
見本帳に隠された色の秘密
ミューズコットンの見本帳を手にして違和感を持った人はいないでしょうか?お気づきになった方もいると思いますが色の並びにこれっと言った統一性が見られません。
1959年に生まれて以来、流行した色を継ぎ足し、順に見本帳に加えていき131色にいたったのが理由のひとつではないでしょうか。他社の豊富な色数を売りにしている商品は色相の彩度・明度を基準に色設計がされており、見本帳を横から見た時、綺麗なグラデーションが形成されます。
色の並べかえに挑戦
ブースでミューズコットン131色全色を四六4切判で展示するにあたり、グラデーションで細かな色の変化を魅せたいよねとの声があがりました。カラーアドバイザーにデザイナーの塚本明彦氏をお招きし、並べかえにチャレンジです。
並べ替えの手順は、
① 明度が高い色(Light Color)のグループ、低い色(Chic Color)のグループ分け
② モノトーン、黄系、赤系、ピンク系、ブルー系、グリーン系にグループ分け
明るい色とシックな色合いを色相別に並べかえるだけで随分とスッキリとした感じがします。
131色をセグメントすると
明るいモノトーン系 8色
シックモノトーン系 13色
明るい黄系 6色
明るいオレンジ系 3色
明るいピンク系 9色
明るいブルー系 9色
明るいグリーン系 7色
明るい紫系 5色
シック黄系 8色
シックピンク系 3色
シックオレンジ系 2色
シック茶系 10色
シック赤系 10色
シック紫系 4色
シックブルー系 18色
シックグリーン系 16色
*仕分けは3人の目視によってなされたもので、数値に基づくものではありません。
明るい色 47色
シックな色84色
暖色系 51色
寒色系 59色
本のジャンルによる色の使い分け
あるブックデザイナーに色決め基準を聞いたことがあります。本のビジネス書・実用書などスピード感を持って本を読ませたい時は明るめの色、文芸書などじっくりと読ませたい時はグレイッシュな色味を使いたいとお話されていました。
もちろんこれは一つの大まかな基準であり、全ての本にはあてはまるものではありません。ただ「OKミューズコットン」が多くの文学賞の見返し等に選ばれた実績は、シックな色味と温かな風合いが読者の心を捉えたのかもしれません。
厳選した10色のBook Cover
ヤマトのブースでは131色から明るい色5色、シックな色5色、計10色を厳選しBook Coverにして来場者にお好きな色をひとつ選んでもらいました。
季節のせいか会場の雰囲気か、れもん色やしんばし色など明るめの色に人気が集まりました。
色の再構築
60年にわたりブックデザイナーに選ばれ、読者からも愛されたロングセラー商品「OKミューズコットン」ですが、次の時代に向けていくつかの課題が残されます。その一つが色の再構築です。重複する近い色合いの統合と抜けている色相を増やすことが銘柄存続の為には必須と言えましょう。
TABF会期中、ヤマトブースにお立ち寄りいただいたアートディレクターの祖父江 慎(そぶえ しん)さんからミューズコットンに向けて素敵なメッセージをいただきました。祖父江さん、お忙しい中ありがとうございました!
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