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2018/03/23

印刷の四方山

katagiri

今回は印刷の話。

 といっても、餅は餅屋に。技術的な話であれば、印刷所の方に話を伺った方がよほど面白い話が聞けます。
 私はもっと気楽にざっくりと四方山話をしようと思います。

 手で書き写すしかなかった書物は、印刷機の登場で人々にとってより身近な存在になりました。
 これは英語の大母音推移の原因の一つだといわれています。

 発音は日本語でも「山茶花:さんざか→さざんか」や「秋葉原:あきばはら→あきはばら」のように、しゃべりやすいように言葉が流動的に変化していく例が見受けられます。
 これに対して、書き言葉は形がはっきりと決まっており、特に印刷技術が確立された後はなかなか変容しません。
 そうして、綴りと発音が一致しなくなっていったのが大母音推移です。これが起こる前は英単語はローマ字読みすればよかったので、日本人にとってもっとわかりやすい言語であったかもしれませんね。

 そういえば、「銀河鉄道の夜」でジョバンニは学校に通う傍ら文字ひろいの仕事をしてお金を稼いでいましたね。
 アルファベット26文字に比べて、日本語は全てカタカナで表記したとしても50音もあります。漢字を加えたら果てしがないですね。活版印刷用の活字屋さんを覗いたことがありますが、ずらっと版が並んでいる様は圧巻でした。
 現在では、活字を組み合わせるのではなく金属や樹脂を薬品などで溶かして版を作成するところが多いです。
 これならその都度、フォントや文字の大きさを変えられますし、同じ版の中に図画を入れることも可能になります。

 江戸時代の新聞である瓦版に大きくイラストが入っているのは、日本語が文字を組むより一から版を起こすほうが向いている言語だったからなのかもしれません。
 同じ面積の木版を掘るのなら、細かい文字もむしろ絵が大部分を占めてくれていた方が楽しそうです。
 真偽の程を確かめた人がいたら、こっそりと耳打ちをしてください。

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