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2017/05/02

第14回本屋大賞

moriyama
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2017年4月11日(火)に「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2017年本屋大賞」が発表されました。大賞には恩田陸(おんだ・りく)さんの「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)が選ばれました。昨年の「羊と鋼の森」(文芸春秋)に引き続きピアノを題材にしておりカバーにはOKミューズガリバーエクストラ ホワイトSが使用されています。またこの「蜜蜂と遠雷」は第156回「直木賞」受賞作品であり、恩田さんは第2回本屋大賞に「夜のピクニック」(新潮社)で受賞して以来2度目の受賞となります。「直木賞」との同時受賞そして2度目の「本屋大賞」はどちらも史上初の出来事でありこの「蜜蜂と遠雷」はまさに快挙尽くしの作品と言えるでしょう。

「蜜蜂と遠雷」の作品紹介

簡単にあらすじを紹介します。三年毎に開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。ここを制したピアニストは世界最高峰のコンクールで優勝するというジンクスがあり、近年注目を浴びるコンクールとして位置づけされている。このコンクールを巡り4人のピアニストを中心に審査員、取材陣、ピアニストの家族や関係者とさまざまな視点から描かれています。

「表現力」の真骨頂

私は恩田さんの小説が好きでこれまで多くの作品を読みました。しかしこの「蜜蜂と遠雷」は冒頭で紹介した快挙も相まって最高傑作なのではないかと思います。登場人物の心理、風景そして作中に登場するさまざまな楽曲。これらの描写が素晴らしくどんどん引き込まれていき500ページあるにもかかわらずあっという間に読んでしまい終わるころには寂しく感じるほどでした。先ほど「作中に登場するさまざまな楽曲」と書きました。音楽を聴いていると風景が浮かんでくるというのはみなさんも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。例えば夏っぽい曲や雪が降っていることを連想させるような曲などなど。クラシックは演奏者が曲を解釈しそれから演奏するそうです。解釈によっては見えてくる風景や物語が変わってくるというのです。私は小説にも同じことが言えると思います。今回は作品内で演奏者が聴衆に風景や物語を音楽によって見せる。そして作者がその光景を文によって読者に伝える。肝心の表現力がないと読んでいても何も伝わってきませんよね。

もともと恩田さんの作品の魅力はこの表現力だと思っています。この「蜜蜂と遠雷」はその魅力を最大限に活かし本を読んでいるだけで音楽が聞こえてくるようなそしてその音楽の中にある風景や物語までもが見えるような感覚に陥るまさに「表現力」の真骨頂と言える作品です。

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